ヤミ金対策法成立   弁護士 荻原典子
   
 
六月一四日に大阪府八尾市でおきた、高齢者三人の心中事件にみられるように、
過酷な取り立てを行うヤミ金融の被害は後を絶ちません。

 七月二五日、ヤミ金融対策法(貸金業規制法及び出資法の一部改正法)が
参議院本会議で可決・成立しました。
 同改正法は、無登録営業、出資法の上限金利違反の際の罰則を、
現行の「三年以下の懲役・三〇〇万以下の罰金」から「五年以下の懲役・
一〇〇〇万円以下の罰金」に強化され、法人の場合の罰金は一億円にまで
引き上げられました。

また、出資法で定めるあらゆる契約の上限金利である一〇九.五%を超えた
貸し付けは契約無効とされています。
 「契約無効」の場合、元本の返還を要するのかの解釈を巡っては、
マスコミの報道の仕方は様々でした。
この様な解釈の違いを生まないため、日弁連や全国ヤミ金対策会議などが
ヤミ金根絶のために、ずっと要求してきた「元本返済不要」の文言が
盛り込まれなかったのは本当に残念です。
従来から、判例では元本返還不要を認めたものも多く、法務省の民事局長は、
委員会での審議の過程で「契約全部無効、不当利得返還請求に対して、
不法原因給付の主張をすることも今までどおり可能である。」と答弁していますので、
元本の返還は不要としてヤミ金を根絶させる取り組みが引き続き必要とされています。

 それにしても、甘い言葉に騙され、ヤミ金融とも知らずに借り入れしたところ、
法外な高金利を、保証人となっていると称して、親や兄弟、勤務先や近隣の人、
子供の学校にまで請求されて、ノイローゼになった人は大勢います。
皆様、くれぐれもお借り入れなさいませんように・・

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