議員さんの政務調査費って何に使ってるの? 弁護士 佐久間信司
   
 
 昨年11月に僕が代表をしている名古屋市民オンブズマンが愛知県議に4月分の政務調査費を返還させるよう、知事に求める住民訴訟を起こした。ことの経過は次のようなもの。オンブズマンはかねてから政務調査費の使途に疑問を持っていたので愛知県議会の旧八会派に平成15年四月分の政務調査費(議員一人当たり月額50万円×議員数分)の情報公開請求をした。この月は県議選があり議員先生は選挙活動に忙しく県政に関する調査研究などできるはずないからそうは使っていないだろう、と思っていた。ところが自民クラブは3050万円、民主党は1200万円、交付された政務調査費全部を使い切ったという収支報告書を県会議長に提出していた。まさに、へぇー、へぇーだ。
 どうしてこんなことが起きるのか。県議は県政に関する調査研究のため月額50万円の補助金を交付されているが、このお金は昔から領収証が要らないのだ。公費で領収証がなくて使えるお金があるなんて信じ難いが愛知県ではこれ本当の話。条例で各会派は年度末に議長宛に収支報告書を提出することになっているが、領収証が不要なため実態は掴み銭の第二給料でないかと言われている。
 たまたま去年の4月は一斉地方選で議員の交替が行われるので、4月一ヶ月分だけの政務調査費の収支報告が必要になった。選挙の月ならそうは使えないはずだ。豊橋市議さんなど政務調査費は月額7万円と僅かなのに4月は使い切れず市長にだいぶん返還している。愛知県議だけが4月もしっかり政務調査をしたなどとても信用できない。そこでオンブズマンが怒って住民訴訟を出した次第。オンブズマンとしては、この訴訟をテコに収支報告書に領収証の添付が必要との条例改正を実現したい。今後の展開に乞うご期待。

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