『DV防止法の改正』   弁護士 可児康則
   
 
一 元配偶者に対する保護命令が可能となりました。
   一定期間、加害者を自宅から退去させたり(退去命令)、被害者に近づくことを禁止する(接近禁止命令)保護命令の制度については、これまで婚姻中であること(事実婚も含みます)が要件とされていました。そのため、離婚成立後は保護命令を利用できないといった不都合が生じていました。そこで、今回、離婚が成立後も引き続き身体的な暴力を振るわれる危険があれば、保護命令の発令を得ることができるように改正されました。
二 子どもへの接近禁止命令が可能になりました。
   接近禁止命令について、これまでは被害者への接近を禁止できるのみで、子どもへの接近は禁止できませんでした。しかし、これでは子どもへの接近を通じ被害者の安全が害されるおそれも大きいことから、今回、被害者が同伴している子どもについて、一定の場合、被害者への接近禁止に併せ、子どもへの接近禁止命令を出してもらうことも可能になりました。
三 退去命令期間の延長と再度の申立て。
   退去命令期間はこれまで二週間とされており、かつ、期間経過後の再度の申立てもできませんでした。しかし、その利用のしにくさから、今回、期間が二か月間に延長されるとともに、期間経過後の再度の申立てが可能となりました。
  以上が大きな改正点ですが、その他にも多くの改正がなされています。DVに悩み、保護命令の申立てなどをお考えの方は、一度、弁護士に相談してみてください。

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