『イラク派兵と憲法「改正」に抗う』   弁護士 川口 創
   
 
一.日本は世界から孤立する
  二〇〇四年一一月二〇日現在、米軍はイラクのファルージャで「武装勢力掃討」との建前の元、市民の虐殺を行っています。街には市民の死体があふれています。罪のない子ども達が毎日殺されていっています。イラク全土で殺されたイラク国民は一〇万人を超えたと言われています。
  しかし、小泉首相はいち早く「成功させないと」とブッシュの虐殺行為を支持しました。私たちは、本当にイラクから、良識ある国際社会から完全に信頼を失った、そう思います。

二.市民の叫び
  イラクへの自衛隊派兵が違憲であることの確認と、差止めを求める裁判を二〇〇四年二月から三回にわたって提訴しました。現在原告は全国から三〇〇〇名を超えました。今まで平和運動などに関わってこなかった、普通の市民の悲痛な叫びです。

三.全国での提訴は国際社会も認知
  現在名古屋の他にも、札幌(箕輪登元自民党代議士が原告)、東京、静岡、山梨、大阪で提訴され、一二月八日には仙台で提訴されます。名古屋の第二回口頭弁論期日では原告の天木直人前レバノン大使が意見陳述をし、強い憤りと危機感を法廷で露わにされました。 天木さんは箕輪さんとともに一一月にオランダのハーグの国際司法裁判所での国際会議に招聘され、参加者から圧倒的な拍手を持って歓迎されました。もともと大多数の国はイラク戦争に反対しており、軍隊も送っていません。国際社会の良心は、まさに自衛隊の派兵に反対する私たち市民とともにあるのです。
  私は、七〇年安保闘争よりも後に生まれた若輩者です。学生運動も経験していません。しかし、弁護士会で子どもの権利を考える委員会に属していることもあり、罪のない子どもを殺す立場に立ちたくない、という強い思いが今の私をかき立てています。

四.「改憲」問題
  一一月一七日に自民党から改憲私案が出され、「改憲」問題が現実化しています。
  私たちが今、思考停止をしたまま、アメリカの戦争に追随した流れの中で「改憲」をすることは、武力によって他国から利権を奪い取る立場をより明確化することに繋がります。イラク派兵の問題と、「憲法改正」問題とは密接に関係しあっています。自衛隊の撤兵を具体的に求める声をもっと大きくしていくことが、改憲を食い止める力にもなります。
  国際社会から信頼される私たちになれるよう、そして罪のない子ども達をこれ以上殺させないためにも、より多くの市民の皆さんとともに、派兵と改憲に抗う声を挙げていきたいと思っています。

 

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