■ 不当判決!! 半田PCB処理施設第1審判決   弁護士  小田 典靖
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 日本車輌製造株式会社が愛知県半田市で建設し営業しようとしているPCB処理施設について,地域住民らがその設置許可処分の違法性を争って提起した行政事件の第1審判決が,平成18年3月29日にあった。同判決は,愛知県(知事)のなした設置許可処分に違法性はないとして地域住民らの訴えを棄却したのであるが,その理由には首肯できないものがある。
  同判決によると,愛知県(知事)は,基本的には設置許可処分の適否の審査をするように求めた審査会の判断を尊重して処分すれば足り,審査会の用いた具体的基準に不合理な点があったり,審査会の審査に看過し難い過誤・欠落があった場合にのみ処分が違法になるとのことである。
  しかし,このような考え方は,行政の責任の所在を曖昧にするものである。
  また,この考え方によれば,裁判所の司法判断は審査会の審査について部分的にしか及ばないことになるが,そうだとすればいったい誰が審査会の審査について監視・是正すると言うのだろうか。日本国憲法は三権分立制度を採用しており,行政の是正をするのは裁判所の職責である。その裁判所が,行政の一部である審査会について部分的にしか判断しないというのは,裁判所の職責放棄としか言いようがない。
  その他にも同判決には問題が多々あり,原告らは控訴をした。現在,控訴審で審理中でありその結論がいつ出されるか不明であるが,何とかして第1審判決の誤りを是正したいと思う。

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