■ 市民オンブズマン活動について   弁護士  佐久間 信司
←戻る

 ここ数年,夏になると私は,東海・北陸地方の県市の包括外部監査報告書(大部なものは数百頁あります)を読み込みレポートするのが恒例になっています。
  この包括外部監査というのは地方自治法に基づき平成10年10月から自治体が監査法人や弁護士を外部監査人に選任し,適宜のテーマで自治体の事務の適法性及び有効性・効率性・経済性の監査をしてもらうもの。平成17年度は全国   の都道府県・政令市・中核市・条例採用市で施行されこの3月までに監査報告書が公表されました。テーマは税の賦課徴収・財産施設の管理・病院・公営事業・外郭団体(財政援助団体)・補助金(委託費)・契約入札・人件費など多岐に亘ります。
  私が参加している全国市民オンブズマン連絡会議が全国規模でチームを作って,例年この報告書を読み込み,その通信簿を作って公表するのです。優秀な報告書は褒め,残念ながら費用の割に内容が物足らない報告書は批判して,包括外部監査報告書の通信簿を作ってオンブズの全国大会で発表し,オンブズマン活動で活用するよう呼びかけているのです。
  従来,自治体の業務はその非効率性が広く指摘されてきました。しかし自治体も財政状態が逼迫してきて,また税金の無駄使いが広く批判されるに至り,相当程度改善されてきたように思います。逆に行政の経済性・効率性が過度に強調され,安易な民営化や不採算部門からの行政の撤退が唱えられる弊害も感じます。小さな政府だけが良い訳ではありません。行政だからこそ採算は取れないものの公益目的のため行われるべき行政サービスもあります。どこを廃止しどこを残すか,どう改善して行くか,自治体首長の舵取りが難しいと思うテーマもあります。
  暑い夏に報告書の読み込みや討議は大変ですが,全国の自治体の税金の非効率な使い方やその是正方法を考えさせられ,普段の弁護士業務とは違う知的関心を呼ぶ勉強の機会になっています。

←戻る