■ 神戸で勝訴!! 中国残留孤児訴訟      弁護士  北村 栄
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  〜全国15地裁の2200人超の大型国賠訴訟がヤマ場に〜

 国策で開拓民らが満州に移住させられたことによって生じた中国残留孤児問題は、現在帰国者総数約2500名中、88%にもなる2202名が現在15の裁判所で国家賠償訴訟を提起しています。残留孤児達ほど、人生のどの段階を捉えてみても、苦労続き、悲惨続きという人はいません。そして年老いた今も経済的な困窮も続き、高齢化も相まって被害はさらに深刻化しています。

  そのような中で孤児達は必死の思いで政府に請願をし、孤児用の年金制度の創設等を要請したが全く聞き入れられずに、やむなく一人当たり3000万円の損害賠償請求の形を取って提起されたのが残留孤児国家賠償訴訟です。

  2002年12月に初めて東京で提訴されて以来、鹿児島、名古屋、京都とあっという間に全国に提訴の動きが広がりました。そして、進行の早かった大阪地裁で2005年7月に最初の判決が出されましたが、孤児の請求を棄却するという血の通わない非常に冷たい判決でした。その後も残留婦人が提起した東京地裁の訴訟においても同様の判決が出されました。

  これら2つの冷たい判決で、孤児も弁護団も少し力を落としていましたが、昨年12月には神戸地裁で画期的な勝訴判決が出ました!!。やった!うれしい!一気に元気回復です。勝訴の知らせに原告達の目にも涙が溢れました。

  この勝訴判決をバネに、東京に次いで原告数の多い地元名古屋での判決(今年3月末頃)に大いに期待したいと思います。

  この訴訟は、世論の盛り上げが勝負の鍵を握る事件です。肉親とのご対面の笑顔は一瞬でその後の孤児の生活の深刻さを殆どの方はご存じありません。知らない人が少しでも実態を知るようになれば、世の中も変わり、政府も変わると思います。ぜひともご支援をよろしくお願いします。


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