■ 自衛隊イラク派兵差止訴訟報告      弁護士  川口 創
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 陸上自衛隊が撤退した後も、航空自衛隊が米軍の兵站活動を担っていることをご存じでしょうか。日本のC130輸送機が、バグダッドをはじめ、「掃討作戦」の最前線まで武装した米兵を輸送しています。その米兵が今日も罪のないイラクの市民、子ども達に銃口を向けています。

  自衛隊イラク派兵差止訴訟を初めてからこの3年、数多くのイラクの市民、子ども達の傷ついた姿を目にしてきました。手足を失い、無言でこちらを見つめる子どもの眼差しが忘れられません。このような圧倒的な暴力こそ、不正義というのではないでしょうか。

  イラク戦争が始まってから、65万人のイラク人が死亡したといわれています。これほどの命が奪われ続けていることに対して、日本がアメリカの占領政策深く関わってこの命を奪い続けていることに対して、私たちはあまりにも無関心ではないでしょうか。

  アメリカではイラク戦争への批判から先の下院選挙で共和党が敗北しました。すでに多くの国が完全撤兵し、イギリス、韓国でもイラクからの撤兵の声が高まっています。

  私たち自衛隊派兵差止訴訟は、世界の大きな流れと連動しながら、この間ずっとイラクからの自衛隊の完全撤退を求めて裁判を続けてきました。

  今もなお、1000名以上での控訴審や天木直人元レバノン大使の尋問、第6次、第7次訴訟などに精力的に取り組み続けています。また、全国の弁護団(800名います)で、自衛官も「ものを言えない被害者だ」という観点から、自衛官のホットラインも行っています。イラク人を日本に招いての講演活動等も積極的に行っています。

  裁判で出来ることは確かに限られています。しかし、裁判を粘り強く続けていくことが、なし崩し的に進んでいる9条壊憲に対する力になると信じて頑張っています。

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