■ 原爆症認定愛知集団訴訟で一部勝訴!      弁護士  中山 弦
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  マスコミでも大きく報道されましたのでご存じの方も多いかと思いますが、2007年1月31日、名古屋地裁は、原爆症認定愛知集団訴訟において、原告4名中2名について厚生労働大臣の認定申請却下処分を取り消すという、原告一部勝訴の判決を下しました。

  原爆症認定制度とは、原爆投下時に、広島、長崎市内やその周辺にいたか、2週間以内に爆心地近くに入ったことが証明できた「被爆者」のうち、放射線が原因で病気や治癒能力の低下が起き、治療が必要な方について、国が「原爆症」と認定し、医療特別手当を支給するという制度です。

  これまで厚生労働省は被爆の実態を反映しない極めて不合理な基準によって認定審査を行ってきたため、被爆者手帳保持者のうち原爆症と認定された方は、わずか1%未満にとどまってきました。

  そのため、全国各地で厚生労働大臣による認定申請却下処分の取り消しを求める集団訴訟が提起され、これまで原告勝訴の判決が続いてきました。

  今回の名古屋地裁判決でも、厚生労働省が「科学的」と称して行ってきた機械的な認定行政が厳しく断罪されており、現在の厚生労働省の認定基準が不合理であることは既に明らかになったと言えます。

  原告全員について勝訴出来なかった点は大変残念ですが、敗訴した原告の方も判決直後から「あきらめずに最後まで闘う」としっかりとした口調で語り、大変励まされる思いでした。

  現在、引き続いて行われている控訴審では被爆の実態と、これを反映しない認定基準の不合理性をさらに明らかにし、必ず全員勝訴の判決を勝ち取るべく、弁護団は奮闘しています。

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