■ クーリングオフを認める画期的判決      弁護士  小田 典靖
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 みなさんは,近時,悪質電話機リースが多発していることをご存じでしょうか。悪質電話機リースとは,通信機器の販売業者が,中小零細な事業者を訪問し,虚偽の説明などにより,不必要な,高性能のビジネスホンをリースする契約を締結させるものです。

  このような契約は,勧誘方法の違法性を理由に,消費者保護を目的とした法律によって取消すことができるはずです。しかし,被害者が抗議したところで,販売業者やリース会社は,適切な勧誘をしたと強弁し,被害者の抗議を全く受け入れません。そして,勧誘方法について証拠が残っていることはまずありません。そのため,被害者の多くは,泣き寝入りをせざるを得ない状況になっていました。

  また,中小零細な事業者であれば,クーリングオフ解除が可能なはずです。しかし,被害者がクーリングオフを主張しても,販売業者やリース会社は,なかなかクーリングオフを認めてくれません。販売業者らが言うには「営業のため」に契約したのであるからクーリングオフできないというのです。しかし,被害者の多くは中小零細な事業者であり,同時に何人もが通話できるビジネスホンを,その事業のために必要としているはずがありません。被害者らは決して「営業のため」にリース契約を締結したわけではないのです。従って,本来であればクーリングオフが可能なのであり,販売業者らの対応は法の解釈を誤ったものです。

  そのような状況で,悪質電話機リース被害名古屋弁護団(当事務所からは,荻原弁護士,森田弁護士,柴垣弁護士と私の4名が参加しています)が,名古屋高裁で,2007年11月19日,中小零細な事業者からのクーリングオフ解除の主張を認める判決を勝ち取ることができました。当然と言えば当然の判決なのですが,これまでの高裁の裁判例には電話機リース被害についてクーリングオフ解除を認めたものがありませんでしたので,非常に画期的な判決です。今後は,この判決のおかげで,さらに多くの被害救済が可能になると思われます。


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