■ 倒産から蘇った会社        弁護士  佐久間 信司
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(弁護士は破産を勧める?)
  会社が倒産すると株主や経営者だけでなく、従業員・仕入先・売り先・金融機関など各方面に迷惑をかけます。だから弁護士が好んで破産を勧める訳ではありません。しかし法律事務所に経営者が相談に来るタイミングは遅いことが多い。何日か後に手形の不渡りが出るとかがザラです。何の措置も取らずに倒産ということになると混乱が大きくなるからやむなく破産申立となる次第。


(破産しても再建可能性が)
  しかし経営者に事業継続の強い意欲があり、会社に技術力や販売力があって営業利益を生み出せる場合、破産した後でも会社再建の方法はあります。

  私が経験した例ですが、電気式のフライヤーを製造販売していた愛知県内の会社が、親会社に対する支援や保証で本業が傾き、やむなく一旦は廃業・破産手続になった。しかし会社再建を睨み廃業直前に一部社員でメンテナンス会社を立ち上げ、その会社を通じて破産後も取引先のメンテナンス業務を受注。その後旧経営陣が尽力してスポンサーを確保し、破産管財人から本社工場・事務所を買取って貰い、それを賃借。今では倒産前以上に業績が回復。


(ネバーギブアップの精神で)
  要は会社の事業活動が「営業利益が出る」「雇用機会の確保」「地域経済への貢献」など、社会的観点から事業価値があれば会社は再建するべきで、弁護士も潰して終わりでなく事業再生や会社再建に努力するべきだと、私は思う。

  前出の例で私は経営陣や従業員の熱意と法律事務所のサポートがあれば、経営難に陥った会社でも取組み次第では会社再建が可能だと実感した次第です。

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