■ 日雇い派遣労働禁止        弁護士  稲垣 宏子
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 平成20年11月4日、政府は、日雇い派遣の原則禁止を柱とする労働者派遣法改正案を閣議決定しました。改正の内容は、雇用が不安定な日雇い派遣や雇用期間が30日以内の労働者の派遣を(一部業務を除いて)原則として禁止するというものです。

  日雇い派遣は、派遣労働者が劣悪な雇用条件の下に置かれ、ワーキングプア・格差社会の温床となっているとの批判や派遣業大手による「二重派遣」や「ピンハネ」等の違法行為によって禁止の議論が高まったものです。

  しかし、他方で、業界からの反発はもちろん、原則禁止が現場の労働者の選択肢を狭めたり、かえって違法な労働供給が地下にはびこることになり、派遣労働者の過酷な実態はかわらない、との懸念の声も上がっています。

  雇用とは、雇用主と労働者の直接雇用が原則であるべきです。たとえ派遣という労働形態にあっても、真に求められるのは、正社員と派遣労働者との差別的な条件格差是正の義務づけ、派遣先企業への安全配慮義務を課す等、原則に立ち返ったルールを確立することではないか、と思います。

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