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アメリカ業務視察旅行報告・余暇時間編

 第1日目(99年9月25日、土曜日)。 今回の旅行では、野球2試合の観戦とミュージカル観賞を必ず入れようと決めていたのですが、出発前にそれらのチケットを確保することができなかったため、現地に到着するやいなや我々は、時差ボケと睡眠不足でフラフラする体にムチ打って、まずチケットの入手に向かいました。その結果、運良くNYヤンキースの試合、NYメッツの試合、ミュージカルと、すべて日程に合うチケットを入手することができ、大いに安堵したのでした。
 第2日目(26日、日曜日)。 宿泊先ホテルがセントラルパークに面していたので、まずはパーク内をブラブラと散歩。パーク内では尋常ならざる数の人々がジョギングに精を出しており、ぼやぼやしているとはじき飛ばされてしまいそうでした。その後は、パークに隣接するメトロポリタン美術館へ。この美術館は、館内が大変広く、時代や洋の東西を問わずあらゆる美術品が展示されており、1時間かけても私は全体の5%ほどしか見て回れませんでした。それでもエジプトピラミッド内部の実物大一部模型など、イメージを体感できるように工夫を凝らした面白い展示に触れることができました。
 美術館の後は、NYヤンキースの試合観戦。ヤンキースタジアムは市街地から地下鉄に乗って20分ほどのところにあり、良く言えば伝統のある、悪くいえば古くボロッちい球場です。印象的だったのは、観客の態度が日本の野球とまるで違うことです。日本のように応援団のリードで声を揃えて応援するといった様子は全くなく、各自が思い思いに叫びたいことを叫んでいるといった風です。また、観客が選手の一つ一つのプレイにとても大げさに反応するので、応援席は常時賑やかです。試合の方は、地元ヤンキースの劣勢で(後に圧倒的な強さでワールドチャンピオンになったチームとは思えない試合ぶり)、このまま負けた日にゃ観客が暴れ出すのではないかと身の危険を覚え、時間に余裕もなかったので試合途中で我々は球場を後にしました。残念ながらヤンキースタジアムで伊良部投手を見ることはできませんでした。
 夜は、ロックミュージカル「レント」の観賞。本当は「美女と野獣」「ライオンキング」「キャッツ」など日本でも馴染みがあって分かり易いものを見たかったのですが、チケットが売り切れており、券売場のお姉さんの奨めに従ってこの「レント」を見ることになったものです。正直言って、見る前は「あまり面白そうじゃないなあ」と思っていたのですが、いざ始まってみると、セリフは理解できなかったものの出演者全員の歌の上手さに圧倒され、本場の凄さを思い知りました。私は一遍で出演メンバーのファンになり、翌日、血眼になってオリジナルCDを探して買ってしまいました。
 第3日目(27日、月曜日)。 この日くらいは観光に徹しよう、ということで(じゃあ今までは何?)、おノボリさんよろしく、自由の女神とエンパイア・ステイト・ビルを見て回りました。平日であるにもかかわらずどちらもたいへんな混雑で、列に並ぶのに余分な時間を使ってしまいました。法律に携わる者としては是非とも連邦最高裁判所なども見学したかったのですが、「時間と見学ルートの関係で泣く泣く」諦めました。
 その日の夜は、「一食くらいは贅沢をしよう」と(これまでホットドッグなど簡単な物で済ませていた)、NYで一番背の高い「世界貿易センタービル」の最上階にある高級レストランで、夜景を見ながら食事をすることにしました。ノー・ネクタイでは入れないので一旦ホテルに帰りスーツに着替えての出直しです。さすがにNY1のノッポビルだけあって窓からの眺めは素晴らしく、その背の高さは、ビルの上部が時折雲の中に入ってしまって外の景色が見えなくなるほどでした(ビルだけでなく食事の代金も高かった・・・)。
 第4日目(28日、火曜日)。 午後4時のMLBPA訪問まで、各自の自由時間としました。私は、以前から行きたかった国連本部を見に行きました。しかし、あいにく定時総会か何かの会期中のため内部見学ツアーが休止になっており、施設の入口付近のごく一部しか見ることが出来ませんでした。それでも「平和のための瞑想室」(瞑想しやすいように遮音され明かりも調整されていて誰でも自由に利用できる)という、たいへん興味深い部屋を見ることができました(見るだけでなく、平和を祈って瞑想してきました)。
 MLBPAとの予想以上に充実した面談については、村井さんのレポートにあるとおりです。
 NY旅行最後の夜は、メッツの試合の観戦。メッツの本拠地「シェアースタジアム」は、ヤンキースタジアムと違い、わりと新しいきれいな球場です。ニューアーク空港のすぐそばなので、試合中何回も頭の上を飛行機が飛んでいき、これが結構退屈しのぎになったりもします。観客の反応はやはりハッキリしており、ひいきチームの投手の投球に対して、ストライク一つで「ウォーッ」、ボールになれば「ブゥーッ」との大歓声がとぶという具合です。こういう素直な反応は、選手にとってもやりやすいのではないでしょうか。試合の方は、これまたメッツの劣勢で、この日負けると6連敗になることもあって観客席にはやや沈滞したムードが漂っていました。夜遅くなると危険な地域であるらしいことから、我々はゲーム途中で早めに引き上げることにしました。市街との連絡には川伝いにボートが出ており、我々はボートに乗って夜景を見ながら帰りました。
 第5日目(29日、水曜日)。 朝早くNYを発ち、翌30日、中日の優勝に合わせて名古屋に帰ってきました。
 こうして今振り返ってみると、短い日程にあれもこれもと詰め込んだため、体力的にはかなりハードでしたが、その分短いながらもいろいろ経験できて充実した旅行でした。このような企画に参加させていただき、たいへん感謝しております。
 最後に、誤解のないように改めて。以上はあくまで「業務視察の余暇」です。念のため。
(2000年新年号 弁護士 稲垣仁史)