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愛犬物語

 弁護士 恒川雅光


 我が家は、夫婦2人暮らしであるといいたいところですが、高齢の雄のミニチュアーダックスフント2匹が同居しかなり忙しい日々を過ごしています。
 毎日朝晩の散歩、食事作りなどは当然、時々の粗相の始末?など毎日2時間くらいが所要時間になっています。一匹は15年余で獣医さんのいうには人間で言えば90歳を超えているし、他の1匹も11年余で70歳くらいとのことです。「2人(我が家では2匹とは言わない)」は、散歩でもゆっくりゆっくりしか歩かないが、朝晩の散歩を要求して吠えまくる。共働きの我が家では、夜は早く帰宅した者が食事の支度(人間と犬両方)をし、低速度の散歩に行き、粗相の始末をする羽目になるが、一度ももめたことはない。永い間共に生活し(寝起きもほぼ一緒)ているし、何よりも、外で大学生活をしている子供らの良き遊び相手であったし、良き話し相手を勤めてきたから可愛いのである。
 しかし、犬を飼い続けることは、行動が制約される。夫婦そろっての泊まりがけの旅行は行けそうもない。1999年の夏、私がロンドンの英語学校へ通っていた時、「二人」を犬のホテルに預け、一週間だけ女房をロンドンに呼んだことがあった。そして帰国し、真っ先に犬のホテルへ2人で「2人」を迎えに行って呼びかけたが、「年上の一人」はホテルにいた若いプードル嬢に懸想し、「年下の一人」は買い主不在で自律神経失調症に陥り、「2人」とも飼い主を無視する態度であった。顔を見せれば、激しく喜びを示すと考えていた2人は、狼狽するばかりであった。
 後日、獣医さんから、群を成して生活している訳だから、群を束ねる2人が「2人」を放棄して群を離脱したので、残された「2人」の精神に大きなショックを与えたのではないかと言われた。それ以来、遠出ができない2人である。
 それでも、「いい加減にせよ、でも長生きせよ」「犬の神様に感謝の祈りをせよ」などといいながら、「2人」の世話に明け暮れる毎日である。