「市民オンブズ雑感」         弁護士 佐久間 信司
 
 
 
 また夏だ,オンブズマンの全国大会がある。2002年の開催地はギョウザで有名な宇都宮。
 最近は 市民オンブズマンも大きなテーマを扱う。
 昨年は公共工事のムダを取り上げ,私たちは
 計画段階の需要予測の過大さが問題だと指摘した。
 ダム・地方空港・高速道路・港湾整備など日本中で問題が山積みだ。
 名古屋市民オンブズマンの活動で市議費用弁償の二重取りや豊田市の包括外部監査の
 ムダ使いから,公共工事による壮大なムダ使いまで大小取り混ぜて公費のムダ使いを追放
 したい。
 
 先日,可動堰建設反対を公約に掲げ当選した徳島県知事が,中止による国への賠償を
 憂慮し事業継続を表明したが,何と情けないことか。国が賠償請求してきたら訴訟も
 辞さない覚悟で,事の是非を問うて欲しかった。
 
 つい最近,岐阜市で数少ない東証一部上場の大日本土木鰍ェ倒産した。
 この会社は中部空港・あいち万博関連で相当な受注をしている。今の日本で大手の
 土建会社がうまみのある公共工事を受注しても,そのお金の相当部分が破綻延命に
 使われるだけで,工事自体は手抜きの欠陥工事になっているとの指摘が多い。
 手抜き公共工事の挙げ句に,企業は倒産,自治体財政は破綻,そのツケはいずれ
 県民市民へ。これでは堪らない。
 
 長野県議会が「脱ダム宣言」した田中知事の不信任決議をゴリ押しした。
 田中知事は,再度,県民の信を問うて見事当選してほしいものだ。
 私たちは市民オンブズマン全国大会に講師として,田中さんを2回,阪神大震災の
 被災者救援活動後と知事当選後,呼んだ。
 田中さんは県知事就任後も,県の談合をチェックする審査会委員にオンブズマンの
 談合問題追求の旗手の弁護士を招聘した。
 
 ムダな公費支出を取り止め,毅然として国の政策と対峙する田中さんのような首長を,
 もっと誕生させなければならない,と思うこの頃だ。

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