<戻る>

新しく始まった成年後見制度

 「近所のAさんは、一人暮らしの高齢の方ですが、最近の会話からどうも判断能力が劣ってきていると思われます。ある日訪問したら、包装も解いていない新しい着物が山と積んでありました。また、最近Aさん宅によく出入りするようになったCさんが、Aさんに頼まれたといって、Aさんの預金をしょっちゅう引き出しているようで、心配でなりません。・・」成年後見制度は、このような痴呆や知的障害、精神障害などで判断能力が不十分な方を支援し保護するために始まった制度です。支援が必要な人に家庭裁判所がふさわしい援助者を選任する法定後見(本人の能力に応じて、補助・保佐・後見があります。財産管理事務については法律実務家が、身上看護事務については福祉の専門家が分担する場合も想定されています)と、判断能力が不十分となる場合に備えて本人が信頼する受任者にあらかじめ契約で委任し、判断能力の衰えたときに開始される任意後見とがあります 今までの禁治産制度よりは使いやすく、またできるだけ本人の残された判断能力による自己決定を尊重しようとされています
(2000年夏号  弁護士 荻原典子)