「DV法が施行されました」      弁護士 可児康広
   
 
 2001年10月13日、配偶者からの暴力防止及び被害者保護に関する法律
 (いわゆるDV法)が施行されました。
 
 この法律の大きな意義は、DVが女性の人権を侵害する行為であり「犯罪行為である」と
 明記したことにあります。
 DVが犯罪行為である以上その責任は暴力を振るった側にあることは言うまでもありません。
 ですから、DVを「単なる夫婦げんか」と過小に評価したり、被害を受けた女性に対し
 「あなたにも悪いところがあったのでは」と責めたりすることは許されないと言えるでしょう。
 また、私たち弁護士も含めこの法律の運用にあたる者は、
 「DVは女性に対する人権侵害であって犯罪行為である。」
 との明確な視点をもって事件にあたる必要があります。
 
 ところで、DV法では保護命令という新たな制度を設けました。
 DVの被害者は、地方裁判所に申し立てることにより、6か月間の加害者の接近を禁ずる
 「接近禁止命令」、2週間の夫婦が生活している家からの退去を命ずる「退去命令」の
 一方あるいは双方を出してもらうことができます。
 そして、命令違反に対しては1年以下の懲役又は100万円以下の罰金といった罰則も
 定められています。
 
 なお、この申立てをするためには
 婦人相談所(2002年4月以降は「配偶者暴力相談支援センター」。)か警察に
 相談又は援助を求めた事実が必要です。
 この事実がない場合には、公証人の面前で宣誓の上作成した供述調書を添付しなければ
 ならなくなり、作成には1万1000円がかかります。
 ですから、保護命令の申立てを考えている場合には事前に婦人相談所か警察に相談等を
 しておくのが良いでしょう。
 保護命令の申立ては、被害者自身が行うこともできますし、弁護士を依頼して行うことも
 できます。
 
 今回のDV法は保護命令に象徴されるように、夫の暴力に苦しんできた女性にとって大きな
 武器となりうる法律です。積極的に活用しましょう。

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