「ひとりごと−ああ、しんどい」
      弁護士 田中雪美
   
 
 2001年は、「ああ、しんどい」という独り言を何度繰り返したことだろうか。
 年の大半を高齢妊娠で過ごしたことに加え、弁護士としての仕事内容が世知辛い世の
 中を反映して、何となくしんどくなっているようにも感じるからだろうか。
 
 妊婦であることを告げるとこの夏ころは、「あら、キムタクと同じね」「雅子様と同じね」と
 よく言われた。
 キムタクというか、雅子様と言うかは、世代によって分かれるところが結構面白かった。
 年配の方に後者の傾向は強いことは言うまでもない。もちろん、別にまねした訳でもないし
 言われて嬉しいわけでもないのだが。
 
 秋以降になると、一見して妊婦と判るようになり、知人もお客さんも、はたまたタクシーに
 乗っても、話題は「雅子様」になった。
 「雅子様ももうすぐだねぇ。男の子かねぇ、女の子かねぇ」がお決まりの話題である。
 これだけ注目されて話の種に妊婦もいまいと、何だか皇太子妃が気の毒になった。
 「どっちでも出来てよかったねぇ」がお決まりの返事である。
 
 ちなみに、私の胎児が男の子らしいと分かると、上が娘なので、一様に
 「それはおめでたい。よかったねぇ」と言われてしまう。
 別に男の子が欲しくて妊娠したわけではなく、姉妹でもよかったので
 「別に女の子でも良かったんですけどねぇ」と、ついお決まりの返事をしてしまう
 今日この頃である。

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