名古屋第一法律事務所

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知っておきたい交通事故の知識

自転車のながら運転の危険性について

近時、自転車を運転しながら、音楽を聴いたりスマホを操作したりする「ながらスマホ」をする人が増えています。それによって交通事故も増加しており、近時、特に問題視されています。

平成29年12月、女子大学生がスマホを操作しながら自転車を運転して女性にぶつかり死亡させた事件がありました。その女子大学生は、重過失致死罪で禁固2年(執行猶予4年)の有罪判決が下されました。
平成30年6月にも、男子大学生がスマホを見ながら自転車を運転して男性をはねて死なせた事件がありました。その事件でも、その男子大学生は重過失致死の疑いで書類送検され、今後重い刑事罰が下される見込みです。

自転車であっても、運転して誰かをケガさせたり死亡させたりした場合には、これも立派な交通事故です。特に誰かを死なせた場合には、刑法上の罪は「過失致死罪」が適用されます。
しかし、前記の2人の大学生には「重過失致死罪」が適用されています。過失致死罪の量刑は50万円以下の罰金ですが、重過失致死罪の量刑は五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金と、格段に重い刑罰です。
これは、ながらスマホという形態が「特に過失が重大な運転」で「悪質」であると考えられているからです。そのため、通常の「過失致死罪」より特に重い「重過失致死罪」が相当だと判断されているのです。

自転車で交通事故を起こした場合には、刑事罰だけでなく、民事としての損害賠償の金額も高額となります。過去には、自転車事故で相手を死なせた当時11歳の加害少年(の親)に、約9500万円もの損害賠償責任が認められた裁判例もあります。 自転車保険に入っていれば絶対安心かというと、そうとは限りません。多くの自転車保険の約款には「重大な過失または故意の場合については、保険金は支払われない」とされています。つまり、ながら運転が「重大な過失」と認められてしまうと、自転車保険に入っていても賠償金が自己負担となってしまう可能性があるのです。

特に危険なのは、スマホなどで大きな音量で音楽を聴きながら運転する場合です。イヤホンで大きな音量で音楽を聴いている間は、聴覚が通常よりも制限されてしまい、さらに音楽を聴いていることで周囲に対する注意力が散漫になります。加えて、曲変更などのちょっとした操作はつい運転しながら行いたくなってしまうのですが、こうしたときに歩行者に衝突するなどの事故が発生する可能性が高くなります。

ながらスマホが大事故につながりやすい別の要因として、スマホを操作している運転手はスマホに気が取られ、ぶつかる直前まで被害者に気付かないという点があります。通常なら「危ない」と気が付いて急ブレーキをかけるところ、ながら運転をしている自転車はそちらに気を取られ、急ブレーキをかけないまま衝突することが多いのです。その結果、強い衝撃により歩行者が大ケガ、あるいは死亡に至ることが少なくないのです。

歩行者にとってスピードの出た自転車は恐怖の対象です。ハンドルの先がかすっただけでケガをすることもあります。
自転車を運転する方は、ぜひ注意して頂けたらと思います。



(弁護士 堀居真大)

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